Clinical practice guideline for the management of candidasis 2016 その3
カンジダのガイドライン。続いて慢性播種性カンジダ症、腹膜炎、血管内感染症です。
(ICU、新生児関連はスキップしてます、あしからず]
青字は管理人のコメントです。
Ⅳ. 播種性カンジダ症(Hepatosplenic candidiasis)の治療は?
24. 脂質製剤アムホテリシンB(1日1回3-5mg/kg) か、エキノキャンディン[カスポファンギン:ローディング70 mgその後、1日50mg、ミカファンギン:1日100mg、アニデュラファンギン:ローディング200 mgその後1日100 mg] による数週間の治療を推奨。その後経口フルコナゾール400mg(6mg/kg) に変更する。(フルコナゾール耐性株の可能性が低い場合)
(強い推薦、質の低いエビデンス)
25. 画像評価を繰り返して改善がみられるまで治療を継続するべきである。通常は数ヶ月を要する。治療の早期中止は再発の可能性がある。
(強い推薦、質の低いエビデンス)
26. 化学療法や造血幹細胞移植が必要な場合に、慢性播種性カンジダ症があることを理由に遅らせるべきではない。再発予防のためハイリスクの期間を通じて治療は継続する。
(強い推薦、質の低いエビデンス)
27. 発熱が持続して衰弱している患者に対して、短期間(1-2週間)のNSAIDsかステロイドの投与も考慮される。
(弱い推薦、質の低いエビデンス)
慢性播種性カンジダ症の症状は免疫再構築の要素もありそうだ、とわかってきているそうです。ステロイドの投与量は経口プレドニゾロンで0.5-1mg/kgと記載がありました。
Ⅷ. 腹腔内カンジダ症の治療は?
大抵の腹腔内感染症ではカンジダのカバーは不要ですが、二次性を超えて三次性腹膜炎になってくると関与することが多くなってきます。といってもカンジダの関与を証明するのは難しい。
54. 最近の手術、吻合部のリーク、壊死性膵炎といったカンジダ症のリスクを有する患者での腹腔内感染症ではカンジダに対する経験的な治療も考慮すべきである。
(強い推奨、中等度の質のエビデンス)
55. カンジダ腹膜炎の治療はドレナージとデブリによるソースコントロールである。
(強い推奨、中等度の質のエビデンス)
56. 治療薬の選択はカンジダ血症か非好中球減少状態のICU患者に対する経験的治療と同じである。
(強い推奨、中等度の質のエビデンス)
57. 治療期間はソースコントロールがどれくらいできたかと、治療に対する臨床的な反応があったかで検討する。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
Ⅸ.気道検体からのカンジダの検出に対して治療は必要か?
58. 気道分泌物の検体からカンジダが検出されても抗真菌薬による治療が必要なことはほとんどない。
(強い推奨、中等度の質のエビデンス)
わりと相談されることが多い。肺炎の治りが悪いなーといって喀痰培養を繰り返すとよくカンジダばっかりが生えてくるようになります。基本、喀痰培養からのカンジダは無視で。これは強調したい。
Ⅹ.カンジダによる血管内感染の治療は?
自然弁の心内膜炎に対する治療は?
59. 自然弁の心内膜炎に対しては、脂質製剤のアムホテリシンB(1日1回3-5mg/kg) (±フルシトシン 25mg/kg 1日4回)、または高容量のエキノキャンディン[カスポファンギン:1日150mg、ミカファンギン:1日150mg、アニデュラファンギン:1日200 mg] を初期治療として推奨。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
キャンディン系は量を増やして投与した方がいいだろう、というのは主にエキスパートオピニオンのよう。
60. 感受性のある種が検出され、臨床的に安定し、血培が陰性化した場合はフルコナゾール[400–800 mg (6–12 mg/kg)]へのステップダウン治療も推奨。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
61. ボリコナゾール[ 200–300 mg (3–4 mg/kg) 1日2回]、またはポサコナゾール錠(1日300mg)もフルコナゾール耐性でこれらの薬剤に感受性の場合はステップダウン治療として使用可能である。
(弱い推薦、非常に質の低いエビデンス)
62. 弁置換術を推奨。術後も最低6週間は治療を継続するべきである。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
AHAのIEのガイドラインの方でも手術が推奨されています。
63. 弁置換術ができない患者では、感受性の株であればフルコナゾール[1日400-800mg(6–12 mg/kg)]による長期抑制も推奨される。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
64. 人工弁の心内膜炎に対しては、治療レジメンは自然弁と同様。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
再発予防にフルコナゾール[1日400-800mg(6–12 mg/kg)]による長期抑制も推奨される。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
埋込み型心臓デバイス感染に対する治療は?
65. ペースメーカーおよび植込み型除細動器の感染ではデバイス全体の除去が必要である。
(強い推奨、中等度の質のエビデンス)
カンジダに限った話じゃないですが。
66. 抗真菌薬の選択は自然弁の心内膜炎と同様である。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
67. ジェネレーターのポケットに限局した感染症では、デバイス除去から4週間の抗真菌薬投与を推奨。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
68. ワイヤも巻き込んだ感染症の場合はワイヤの除去か最低6週間の抗真菌薬投与を推奨。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
69. 除去できない補助人工心臓に対しては、抗真菌薬の選択は自然弁の心内膜炎と同様である。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
感受性のある株であればフルコナゾールによる長期抑制治療もデバイスが留置されている間推奨する。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
カンジダによる血栓性静脈炎に対する治療は?
70. カテーテルの抜去と切開排膿、または可能であれば静脈の切除を推奨。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
71. 脂質製剤のアムホテリシンB(1日3-5mg/kg)、フルコナゾール[400–800 mg (6–12 mg/kg)] 、またはエキノキャンディン[カスポファンギン:1日150mg、ミカファンギン:1日150mg、アニデュラファンギン:1日200 mg ]の血培陰性化後2週間の投与を推奨。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
72. 脂質製剤のアムホテリシンBかエキノキャンディンでの初期治療で効果が得られ、フルコナゾール感受性株が検出されたらフルコナゾールへのステップダウン治療も考慮すべきである。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
73. 臨床データと培養結果と一致するなら、血栓の消失を治療修了の目安としてもよい。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
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