Clinical practice guideline for the management of candidasis:2016 その2
カンジダのガイドラインの続き。次は好中球減少状態でのカンジダ血症です。
Ⅲ. 好中球減少状態でのカンジダ血症の治療は?
14. エキノキャンディンを初期治療として推奨する。
[カスポファンギン:ローディング70 mgその後、1日50mg、ミカファンギン:1日100mg、アニデュラファンギン:ローディング100 mgその後1日200 mg]
(強い推奨、中等度の質のエビデンス)
15. 脂質製剤アムホテリシンB(AmB)(1日1回3-5mg/kg)は効果は得られる代替薬ではあるが、毒性があるためやや劣る選択肢である。
(強い推奨、中等度の質のエビデンス)
歴史的には好中球減少状態でのカンジダ血症はアムホテリシンBで治療されていましたが、キャンディン系の台頭で役割をゆずった、という感じですね。
16. 重篤な状態でなく、アゾールの曝露のない患者ではフルコナゾール[800 mg(12mg/kg)ローディングの後400mg(6mg/kg)1日1回] も代替薬である。
(弱い推奨、質の低いエビデンス)
17. 好中球減少が続いている患者でフルコナゾール感受性の株が検出され、血培が陰性化したら、step-down therapy としてフルコナゾール[400 mg (6 mg/kg)1日1回] に変更してもよい。
(弱い推奨、質の低いエビデンス)
予防投与をのぞけばフルコナゾールの役割はステップダウン治療に縮小してきています。
18. 糸状菌のカバーも追加で必要な場合はボリコナゾール[400mg(6mg/kg)1日2回を2回投与後200mg(3mg / kg)を1日2回] も使用可能である。
(弱い推奨、質の低いエビデンス)
ボリコナゾールは血培が陰性化して安定している患者のボリコナゾール感受性株に対するStep down therapyとしても使用可能である。
(弱い推奨、質の低いエビデンス)
19. C. kruseiによる感染症の場合は、エキノキャンディン、脂質製剤アムホテリシンB、ボリコナゾールのいずれかを推奨。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
C. kruseiはフルコナゾールに耐性だけどボリコナゾールには感受性のことが多い。
そういえば2009年版のガイドラインにはカンジダの種ごとの感受性パターンが表になっていて便利だったんですが、2016年版ではなくなっています。かわりにブレイクポイントが表になっています。カンジダも感受性を個別に測定する時代だということでしょうか。元々はカンジダは種がわかれば感受性は予測できるのですが、少しずつ耐性が問題になりつつあるようです。日本医真菌学会のガイドラインでも同じような指摘がされています。
20. 明らかな転移性合併症のないカンジダ血症の治療の推奨期間は、カンジダ血症による症状が消失して好中球減少が改善していれば、カンジダが血液培養から陰性化してから2週間である。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
好中球が回復していない場合は?生着までは続けましょう、と本文にはありました。
21. 脈絡膜と硝子体の感染の所見は好中球減少状態ではほとんどみられない。故に散瞳を伴う眼底診察は好中球回復から1週間以内に行うべきである。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
22. 好中球減少患者ではカンジダ血症の原因としてCVCs以外が優位である(腸管など)。カテーテル抜去の適応は個別に判断するべきである。
(強い推奨、質の低いエビデンス)
薬剤の選択は好中球減少状態と非好中球減少状態でさしてかわらないのですが、カテーテルの扱いが好中球減少状態と非好中球減少状態で少し違います。そもそもカンジダ血症の侵入門戸は皮膚なのか?腸管なのか?というのはよくわかっていません。早期に抜去しても予後の改善がなかったという報告もあり、抜くかどうかは個別に判断せよ、ということになっています。
23. カンジダ血症が持続して、好中球減少状態の長期化が予測される場合は、G-CSFで動員した顆粒球輸血も考慮される。
(弱い推奨、質の低いエビデンス)
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