インフルエンザ感染の臨床症状とウイルス排泄
ちょうどインフルエンザ流行のシーズンなので、インフルエンザの話題です。
Clinical infectious diseaseに自然感染したインフルエンザの症状とウイルス排泄に関する香港で行われた研究の論文がでていました。
ボランティアにウイルスを投与して経過を報告したものが多い中、自然感染の患者さんを発症前からフォローした、という興味深い論文です。A型は症状とかなり一致していた一方で、B型は発症2日前くらいからウイルスがでていて、かつ改善してからもでているかも、と。
自分がウイルスを排出しているかどうかを病院で調べることは普通できませんので、感染対策で大事なのは咳エチケットですね。
Ip DKM, Lau LLH, Chan K-H, Fang VJ, Leung GM, Peiris MJS, et al.
The Dynamic Relationship Between Clinical Symptomatology and Viral Shedding in Naturally Acquired Seasonal and Pandemic Influenza Virus Infections.
Clin Infect Dis. 2016 Feb 15;62(4):431–7.
背景
ボランティアにウイルスを投与した経時的なウイルス排出のパターンは報告されているが、自然に獲得したインフルエンザ感染における臨床症状とウイルス排出の関係についての知見は限られている。
方法
2008年から2014年に香港で行われたコミュニティベースの研究。健常人をフォローし、家庭内でインフルエンザウイルスに二次感染した224例を同定した。
臨床症状とウイルス排出のパターンとの間の動的な関係をRT-PCR用いて定量化して調べ、急性呼吸器感染症の臨床像を呈した127例では ウイルス培養も使用した。
結果
A型インフルエンザウイルス感染症におけるウイルス排出は、臨床症状の最初の1-2日にピークに達した後、徐々に減少し6-7日目までに検出不能なレベルになり、臨床症状の動態と密接に一致していた。
B型インフルエンザウイルス感染症におけるウイルス排出は、症状の発現の2日前までに上昇し、二峰性のパターンで示した後、発症後6-7日間持続した。
結論
臨床的な症状はA型インフルエンザウイルス感染での感染性の代理として役に立つ一方で、B型インフルエンザウイルス感染症においては発症前または臨床的改善後であっても感染性がありうることが示唆された。
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