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2016年1月

2016年1月27日 (水)

関取と筋肉

突然ですが、大相撲観戦が趣味です。
先日の2016年初場所では御嶽海、安美錦といった幕内の力士がインフルエンザで休場しました。
先日の記事にもあるように、インフルエンザウイルスは症状が出ている間は排泄されていますので、休場期間が2日程度で再出場してきたのは大丈夫だったのかちょっと不安になりました。

さて相撲についてどれくらい研究が発表されているのだろう、と興味をもちPubmedで”Sumo wrestler”を検索したところ、面白い論文を発見しました。力士と大学生の体組成の比較、さらに力士の体組成を番付で比較した研究です。

すべての力士をあわせて36人なので、なんともいえませんが、十両以上に上がろうと思うと、やはり筋肉量が必要ということを示唆しています。太ってるだけじゃだめなんです。 新入幕で負け越した輝のことを指してNHK解説の北の富士勝昭さんが「まだ子どもの体だ」と言っていましたが、まだ体格の割に筋肉量が足りないということを相撲人的な言葉で表現したのでしょうか。よく稽古して体を強くして出なおしてほしいものです。 この研究の発表は1999年なので、さらに大型化が進んだ近年の角界でのデータが気になるところですね。

Hattori, K., et al. "Hierarchical differences in body composition of professional Sumo wrestlers." Annals of human biology 26.2 (1999): 179-184.

36人のプロの力士と39人の男子大学生の体組成を、デンシトメトリー法で評価した。力士は平均で体重117.1キロ 、BMI36.5と体脂肪率26.2%で訓練を受けていない男性と比較して非常に大きかった。(P <0.001) 力士の番付で分類した分散分析の結果、体重、除脂肪量、脂肪量、BMI、除脂肪量指数(fat-free mass index :FFM /身長2)と脂肪量指数(fat mass index :FM /身長2)に有意差がみられた。体組成の階層的な違いを視覚的に表現するために、力士の脂肪量指数および除脂肪量指数は、身体組成のグラフにプロットした。 関取(十両以上)は、幕下以下の力士に比べて著しく大きい除脂肪量指数を有した。他の力士から関取を区別する除脂肪量指数はカットオフは約30であった。この値は力士が十両以上に昇進できるかどうかの身体計測指標の一つかもしれない。

2016年1月26日 (火)

インフルエンザ感染の臨床症状とウイルス排泄

ちょうどインフルエンザ流行のシーズンなので、インフルエンザの話題です。
Clinical infectious diseaseに自然感染したインフルエンザの症状とウイルス排泄に関する香港で行われた研究の論文がでていました。
ボランティアにウイルスを投与して経過を報告したものが多い中、自然感染の患者さんを発症前からフォローした、という興味深い論文です。A型は症状とかなり一致していた一方で、B型は発症2日前くらいからウイルスがでていて、かつ改善してからもでているかも、と。
自分がウイルスを排出しているかどうかを病院で調べることは普通できませんので、感染対策で大事なのは咳エチケットですね。

Ip DKM, Lau LLH, Chan K-H, Fang VJ, Leung GM, Peiris MJS, et al.
The Dynamic Relationship Between Clinical Symptomatology and Viral Shedding in Naturally Acquired Seasonal and Pandemic Influenza Virus Infections.
Clin Infect Dis. 2016 Feb 15;62(4):431–7.

背景

ボランティアにウイルスを投与した経時的なウイルス排出のパターンは報告されているが、自然に獲得したインフルエンザ感染における臨床症状とウイルス排出の関係についての知見は限られている。

方法

2008年から2014年に香港で行われたコミュニティベースの研究。健常人をフォローし、家庭内でインフルエンザウイルスに二次感染した224例を同定した。

臨床症状とウイルス排出のパターンとの間の動的な関係をRT-PCR用いて定量化して調べ、急性呼吸器感染症の臨床像を呈した127例では ウイルス培養も使用した。

結果

A型インフルエンザウイルス感染症におけるウイルス排出は、臨床症状の最初の1-2日にピークに達した後、徐々に減少し6-7日目までに検出不能なレベルになり、臨床症状の動態と密接に一致していた。

B型インフルエンザウイルス感染症におけるウイルス排出は、症状の発現の2日前​までに上昇し、二峰性のパターンで示した後、発症後6-7日間持続した。

結論

臨床的な症状はA型インフルエンザウイルス感染での感染性の代理として役に立つ一方で、B型インフルエンザウイルス感染症においては発症前または臨床的改善後であっても感染性がありうることが示唆された。

2016年1月20日 (水)

AHA IE Guideline update 2015 その6(最後) 合併症のマネジメント

AHAの心内膜炎のガイドライン抄訳第6弾は手術編です。青字は管理人のコメントです。ようやく最後までたどり着きました。

◇塞栓症のリスク
IEでは脳、肺などによく塞栓がみられます。時々塞栓が先に見つかって後からIEの診断がついたりしますが。
塞栓のリスクは治療開始後2週間を経過すると下がると言われています。もし塞栓をふせぐために手術するのであれば、出来る限り早期の方がメリットがあるだろうと記載がありました。
IEの患者さんで脳MRIを撮影すると無症候性のものも含めて高率に脳梗塞の所見が見つかります。では全例にMRIを撮影すべきなのか?という疑問がでてきますが、手術をする患者では撮影してはどうか、という意見もあるようです。しかし見つかった所見によってどう判断を変えるかというところは一定の見解はありません。

◆抗凝固療法
1. 人工弁の心内膜炎の患者が中枢神経系の塞栓を合併した場合は、最低2週間すべての抗凝固治療を中止するのが妥当である。(Class IIa; Level of Evidence C).

2. 心内膜炎の治療にアスピリンや他の抗血小板剤を追加するのは推奨しない。(Class III; Level of Evidence B).

3. 出血性の合併症がなければ、心内膜炎発症時点で使用していた抗血小板薬は継続を検討してもよい。(Class IIb; Level of Evidence B).

◇弁輪周囲への感染の波及
1. 弁輪周囲への感染の波及が疑われる場合の初期評価には経食道心エコーを推奨する。(Class I; Level of Evidence B).

◇転移性病巣
1. 画像検査の方法(CT、MRI、超音波)を用いるかは患者ごとに個別化する。
(Class I; Level of Evidence C).

◇細菌性動脈瘤
◆頭蓋内細菌性動脈瘤
1. 心内膜炎か隣接する感染症がある患者はに激しい局在性の頭痛、神経学的脱落徴候、髄膜刺激徴候が出現した場合は、頭蓋内の細菌性動脈瘤か出血を検索するための画像検査を行うべきである。(Class I; Level of Evidence B).

2. 左心系心内膜炎であれば中神経症状がなくても脳血管の画像検査を考慮してもいいかもしれない。(Class IIb; Level of Evidence C).

3. CTアンギオ、MRアンギオ、digital subtraction angiography(DSA)が細菌性脳動脈瘤の初期評価の方法としては妥当である。(Class IIa, Level of Evidence B).

4. CTアンギオ、MRアンギオ、DSAで陰性の場合、古典的な血管造影も細菌性脳動脈瘤の検出には妥当である。(Class IIa; Level of Evidence B).

◆頭蓋外細菌性動脈瘤
1. 心内膜炎の患者は外来治療を考慮する前に入院の上、評価と安定するまでの治療を行うべきである。 (Class I; Level of Evidence C).

2. 外来抗菌薬点滴治療(OPAT)の対象患者は心内膜炎の合併症のリスクが低い患者にすべきである。最も多い合併症は心不全と塞栓症である。(Class I; Level of Evidence C).

◇抗菌薬治療終了後のケア

◆短期的フォロー
1. 治療完遂前か治療完遂時に心エコーを行ってその後の合併症の出現の基準にするのが妥当である。(Class IIa; Level of Evidence C).

2. IDUに対しては薬物依存治療プログラムへの紹介をする。(Class I; Level of Evidence C).

3. 患者さんには心内膜炎の徴候と、緊急で受診すべき症状について教育する。(Class I; Level of Evidence C).

4. 綿密な歯科の評価が妥当である。特に弁置換が必要な場合には口腔内感染症の活動性の病巣はすべて除去する。

5. 抗菌薬治療完了後のルーチンの血液培養は推奨しない。理由は明らかな感染症の徴候がない患者では陽性になる可能性は低いからである。(Class III; Level of Evidence C).
6. 抗菌薬投与に使用したカテーテルは終了後に速やかに抜去すべきである。(Class I; Level of Evidence C).

7. 長期間のアミノグリコシド投与をする場合は、特に基礎に腎障害や聴力障害があった患者では、治療中の定期的な聴力検査を考慮する。(Class  IIb;  Level  of Evidence C).

8. 短期フォローアップでは心内膜炎の再燃や心不全などの合併症がないかをモニターする。(Class I; Level of Evidence C).

9. 患者さんには再発が起こりうること、新たな発熱、悪寒戦慄などの全身の症状がみられた場合は迅速に病歴聴取、身体診察、3セット以上の血液培養が必要になることを理解してもらわねばならない。(Class I;Level of Evidence C).

10. IEの再発が懸念されるので、感染症の症状と徴候の原因を決定するために徹底的に評価しなければならない。(Class I; Level of Evidence C).

11. 患者の状態が敗血症などで抗菌薬投与がどうしても必要な状態でなければ、経験的な抗菌薬投与は控えるべきである。(Class III;Level of Evidence C).

12. 治療を完遂して全身の症状もない患者が抗菌薬投与終了後に検査を受けるのは妥当である。(Class IIa; Level of Evidence C).

13. 心不全の発症や悪化は治療後早期のフォローアップ中もモニターしなければならない。(Class I; Level of Evidence C).

14. もし心不全が出現あるいは悪化したら、心臓手術のために迅速に評価をしなければならない。(Class I; Level of Evidence B).

15. 抗菌薬による毒性は治療完遂後も発症しうるので、治療後早期のフォローアップでも考慮しなければならない。

(Class I; Level of Evidence C).

16. 前庭機能をモニタするツールはないので、治療中や治療後に前庭症状が出た場合は報告するよう患者に教育する。(Class I; Level of Evidence C).

◆長期的フォロー

1. 心内膜炎に対する内科的治療の終了後、数ヶ月から数年の間は感染の再燃と遅発性の弁不全の悪化について観察し、患者を教育しなければならない。(Class I; Level of Evidence C)

2. 日常的な歯の衛生は強化しなければならない。このような患者群を診なれた司会による持続的な評価が望ましい。(Class I; Level of Evidence C).

3. 心不全の症状について問診し、詳細な身体診察を行わねばならない。(Class I; Level of Evidence C).

4. 病歴聴取と身体診察で疑わしい所見があった患者では追加で心エコーによる評価を行うべきである。(Class I; Level of Evidence C).

5. 発熱があった場合は受診するよう患者に指示し、血液培養を採取すべきである。(Class I; Level of Evidence C).

6. 患者の状態が敗血症などで抗菌薬投与がどうしても必要な状態でなければ、原因のわからない発熱に対するな抗菌薬投与は控えるべきである。(Class III;Level of Evidence C).

◆歯科治療

1. 心内膜炎で入院中の患者は歯科医の詳細な評価を受けて、菌血症の原因となってIEの再発リスクとなるような口腔内疾患を除外すべきである。(Class I; Level of Evidence C).

2. 歯科診察で注意すべきは歯周炎、歯周囲のポケット形成、歯髄の感染と膿瘍形成の原因となるようなう歯である。(Class I; Level of Evidence C).

3. 口腔内のレントゲン写真で診察ではわからないう歯と歯周病とその他の疾患(歯の破折など)を発見できる可能性がある。歯科治療施設まで移動できる場合は行うべきである。(Class I; Level of Evidence C).

 

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