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2015年12月17日 (木)

AHA IE guideline 2015 update その3 Enterococcus編

ちょっと時間があきましたが、AHAの心内膜炎ガイドラインUpdate Recommendationの訳第3弾、Enterococcusです。   

 

◇Enterococcus   
1. Enterococcusはシナジー作用を予測するためペニシリンとバンコマイシンの感受性を測定し、高濃度ゲンタマイシンの感受性をルーチンに測定すべきである。(Class I;Level of Evidence A).    
基本的なことですが、一応解説すると、Enterococcusのアミノグリコシド感受性をみるときは高濃度でみなくてはいけません。グラム陰性桿菌と同じ濃度で調べると必ず耐性で返ってきます。GMでMIC>500μg/mL、SMでMIC>1000μg/mLで高度耐性です。血液培養から出た腸球菌でもルーチンで高濃度耐性をみる施設はあまりないでしょうから、普通は検査室に特別に依頼する必要があります。    
      
2. βラクタム、バンコマイシン、アミノグリコシドに耐性の株ではダプトマイシンとリネゾリドの感受性を測定すべきである。(Class I;Level of Evidence C).   

 

○腸球菌によるIEの治療におけるアミノグリコシドの役割   
1. Enterococcusの心内膜炎に対し腎機能正常の患者ではゲンタマイシンは1日複数回投与(3mg・kg/日)投与すべきである。(1日1回投与法は用いない) (Class I; Level of Evidence B).    
Streptococcusでは1日1回投与法でしたが、腸球菌では複数回投与法のままです。これは大丈夫というデータがまだ足りないので、というのが理由のよう。   
    
2. ゲンタマイシンは8時間毎に投与し、投与1時間後の血中濃度~3μg/mL、トラフ濃度<1μg/mLとなるように投与量を調節する。(Class IIa; Level of Evidence B).      

 

○アンピシリン、ペニシリン、バンコマイシン、アミノグリコシドに感受性の腸球菌による心内膜炎の治療   
1. アンピシリンか水性ペニシリンGにゲンタマイシンかセフトリアキソンを加えた治療が妥当である。(Class IIa; Level of Evidence B).   
いよいよガイドラインにも登場のアンピシリン+セフトリアキソンというダブルβラクタム治療。初めて聞いた時はまさか、と思いましたが臨床試験で効果が確かめられたのでだいぶ推奨度が上がってきました。結合するPBPが違うからだという説明になっています。ところで腸球菌の血流感染症の治療にペニシリンGを使ったことは個人的にはありません。    
    
2. 自然弁の場合は4-6週間の治療が妥当。ペニシリン(アンピシリン)+ゲンタマイシンの治療を開始されるまでにどれくらい症状が続いてたかによる。(Class  IIa;  Level  of Evidence B).      
3ヶ月未満なら4週間、3ヶ月以上なら6週間ということになっています。   
    
3. アンピシリン+セフトリアキソンで治療するなら症状の持続期間にかかわらず6週間が妥当である。(Class IIa; Level of Evidence B).      

4. 人工弁の場合は6週間の治療が妥当。(Class IIa; Level of Evidence B).      
      
5. クレアチニンクリアランスが<50mL/minの場合はストレプトマイシンの使用は避ける。(Class III; Level of Evidence B).      
      
6. Enterococcusがゲンタマイシンとストレプトマイシンの両方に感受性がある場合はゲンタマイシンを選択するのが妥当である。(Class IIa; Level of Evidence C).      
      
7. ゲンタマイシンが使えない場合はβラクタム併用療法を用いるのが妥当である。(Class IIa; Level of Evidence B).
   
腸球菌のIEは高齢者なんかに多いので、腎臓に問題を起こしにくいレジメンを使う機会は増えるかもしれません。

 

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○アンピシリン、ペニシリンに感受性だが、アミノグリコシド耐性の場合。またはゲンタマイシン耐性、ストレプトマイシン感受性の場合      
1. アミノグリコシド耐性腸球菌の場合はセフトリアキソン+アンピシリンを使用するのが妥当である。(Class IIa; Level of Evidence B).    
上述のように「高濃度耐性」です。      
   
2. ゲンタマイシン耐性、ストレプトマイシン感受性の場合もセフトリアキソン+アンピシリンを使用するのが妥当である。(Class IIa; Level of Evidence B)    
つまりペニシリンとの併用薬の優先順位はゲンタマイシン≒セフトリアキソン>ストレプトマイシン、ということのようです。セフトリアキソンの方が報告されている症例数も多いのでストレプトマイシンよりも優先度が高いだろうというのがその根拠。    
日本では高濃度アミノグリコシド耐性の検査の結果を待つ間にメンドクサイからセフトリアキソンにしちゃえ、みたいなプラクティスが増えるのかな…

 

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○βラクタムが使えないか、ペニシリン耐性の場合のバンコマイシンによる治療      
1. バンコマイシンを投与するのはペニシリンGかアンピシリンの投与に患者が耐えられない場合に限るべきである。(Class I;Level of Evidence B)    
      
2. 自然弁の心内膜炎の場合はバンコマイシン+ゲンタマイシンを6週間、人工弁の場合は最低6週間でそれ以上を投与するのが妥当である。(Class IIa; Level of Evidence B).      
      
3. ペニシリンに自然耐性のE. faecalisによる心内膜炎の場合はバンコマイシン+ゲンタマイシンで治療するべきである。(Class I; Level of Evidence B).
   
残念ですがここにはセフトリアキソンの出番はありません。

 

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○ペニシリン、アミノグリコシド、バンコマイシンに耐性のEncterococcusによる心内膜炎の治療   
1. ペニシリン、アミノグリコシド、バンコマイシンに耐性のEnterococcusによる心内膜炎は、感染症、循環器、心臓外科、臨床薬物学の専門家、必要に応じて小児科の専門家が管理すべきである。(Class I; Level of Evidence C)

 

2. ダプトマイシンによる治療を選択した場合、1日あたり10-12mg/kgの投与を考慮する。(Class IIb;Level of Evidence C).    
ここではダプトマイシンの話になっていますが、選択肢にはリネゾリドもあります(表を参照) 日本でも米国でもダプトマイシンは腸球菌の治療には認可されていません。ご注意を。   
   
3. 血液培養が陰性化しないか、Enterococcusのダプトマイシンに対するMICが感受性の範囲内で高め(3 µg/mL )の場合は、ダプトマイシンとアンピシリンかセフトリアキソンの組み合わせも考慮する。    
ほとんどケースレポートレベルのデータしかない世界です。

 

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次回はその他の微生物編を予定。

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