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« 骨関節の感染症編 IDSAのMRSA治療ガイドライン | トップページ | IDSA Febrile neutropenia のガイドライン その2 »

2011年2月 8日 (火)

IDSA Febrile neutropenia のガイドライン

数年前から出る出るといわれてたIDSAの発熱性好中球減少症のガイドラインがようやく出ました。
今年に入ってからMRSA、FNと続いています。
例によってSummaryの部分を少し訳しました。あくまで個人の勉強用ですので、誤訳などある可能性があります。情報が必要な人は原典にあたってくださいね。

ところどころコメントが入っています。

GUIDELINE RECOMMENDATIONS FOR THE EVALUATION AND TREATMENT OF PATIENTS WITH FEVER AND NEUTROPENIA
Clin. Infect. Dis. 2011 Feb;52(4):e56-93.

I. リスクアセスメントの役割。何がFN患者のハイリスクと低リスクを分けるのか?
MRSAのガイドラインもそうでしたが、章のタイトルがみんな疑問文です。
Recommendations
1. 発熱をみた時点で重症感染症による合併症のリスクをアセスメントすること。(A-II)
リスクによって薬剤の投与経路(経口か点滴か)、治療の場(入院か外来か)、治療期間が変わってくる。(A-Ⅱ)

2. 多くの専門家が考えるリスクの高い症例とは以下
・7日以上の長期にわたる好中球減少
・好中球減少が深刻(≦100)
・and/or 合併症がある(低血圧、肺炎、腹痛の出現、意識障害)
これらの症例はまずは入院させるべきである。(A-II).

3. リスクの低い患者(好中球減少が短い、合併症がない)は内服治療の候補である。(A-Ⅱ)

4. ちゃんとしたリスク設定をするならMASCCスコアを使いましょう(B-Ⅰ)
 i. MASCCスコア<21は高リスク。MASCCスコアか、臨床的なクライテリアでハイリスクとされた人は入院させましょう。(B-I).
 ii. MASCCスコア≧21は低リスク。(B-Ⅰ) 内服または外来での経験的治療の患者は慎重に選ぶこと。(B-Ⅰ)

II. 初期評価としてどのような検査と培養を行うか?
Recommendations
5. 初期の検査は血算、BUN/Cre、電解質、トランスアミナーゼ、ビリルビンくらいはすること。(A-III).

6. 血培は最低2セット。もし留置されているCVがあれば同時にそのルーメンからも採血する。CVがなければ末梢から2セット採取。(A-III)
体重40kg未満の患者(本文を読むと小児のことのよう)では血培の採血量は総血液量(通常は70mL/kg)の1%未満にすること(C-Ⅲ)

カテ血からの採取については複数のルーメンがあればその全てから採取した方がよいと本文には記載があります。

7. 臨床的に疑わしい部位があればそこからも培養をとる(A-Ⅲ)

8. 呼吸器の症状や所見があれば胸部レントゲンもとる。(A-Ⅲ)
まあそりゃそうだ。

III. どの抗菌薬を使うか?どこで治療するか?
Recommendations
General Considerations

9. ハイリスクの患者では点滴抗菌薬でのエンピリック治療を行う。
抗緑膿菌作用のあるβラクタムの単剤(CFPM、PIPC/TAZ、カルバペネム)を推奨する。(A-Ⅰ)
他の抗菌薬(AG、FQ、VCM)は肺炎とか低血圧とかの合併症があるときや、耐性の感染症が疑われるか証明されている際に追加を検討(B-Ⅲ)

セフタジジムは推奨から落ちました。GNRの耐性が広がってきたのと、連鎖球菌などのGPCにカバーが弱いのが根拠のようです。前回のGLではβラクタム±アミノグリコシドという推奨だったのが、晴れてβラクタム単剤が推奨されています。

FNでの際の使用に安全性の問題があるのではないかという疑義が呈されて議論を呼んだCFPMはその後の研究ではっきりした結果がでなかったので残りました。

10. バンコマイシンを含むグラム陽性球菌活性のある薬剤をFNの初期治療にルーチンで使用するのは推奨しない(A-Ⅰ)
カテ感染、軟部組織感染症、肺炎、血行動態が不安定といった限られた病態では考慮する。

11.耐性菌の感染が疑われる状況、菌血症が疑われる場合や患者の状態が不安定の場合は初期治療の抗菌薬の修正を考慮すること。(B-Ⅲ)
 i. MRSAなら早期にVCM、LZD、ダプトマイシンの追加を。(B-III).
 ii. VREならLZDかダプトマイシンの早期の追加を。(B-III).
 iii.ESBLならカルバペネムの使用を考慮。(B-III).
 iv. KPCならコリスチンかチゲサイクリンの早期の使用を。(C-III).

12. ほとんどのペニシリンアレルギーの患者はセファロスポリンは問題なく使用できる。しかし即時型のアレルギー(じんましん、気管攣縮)の既往がある場合はβラクタムをさけて、CPFX+CLDMやAZT+VCMなどで治療を開始する。(A-II).

13. 無熱の好中球減少患者でも感染症を疑わせる症状や所見があればハイリスク患者として評価して治療を行う。(B-III).

14. 低リスク患者を内服または点滴で治療する場合でも、医療現場で投与を行うこと。臨床的な基準を満たせば、外来での治療に移行する。(A-I).
 i. CPFX+AMPC/CVAは内服でのエンピリック治療に推奨する。(A-Ⅰ)LVFXやCPFXの単独投与とかCPFX+CLDMとかはあまり研究されていないが、実際のところはよく使われている(B-Ⅲ)
 ii. LVFXを予防投与に使っていた人は初期治療にLVFXを使わないこと(A-Ⅲ)
  iii. 熱が続いたり、状態が悪化した場合は入院させること(A-Ⅲ)

IV. 治療開始後にいつどうやって治療を推奨するか?
Recommendations
15. 初期投与の抗菌薬の調整は臨床的なデータと微生物学的な結果によって行う。(A-II).

16. 熱が続く原因がはっきりしないが、それ以外は安定している患者の場合、初期治療の抗菌薬を変更する必要はほとんどない。感染症が同定されたら、抗菌薬をそれに応じて変更する。(A-I).
とりあえずバンコマイシンを突っ込んでみても、解熱するまでの期間は変わらなかった、というスタディがあります。

17. 臨床的・微生物学的に同定された感染症は臓器と感受性にあわせた抗菌薬で治療する。(A-I).

18. 初期投与の抗菌薬にバンコマイシンも追加されていた場合、GPCによる感染症の証拠がなければ2日で終了してもよい。(A-II).

19. 治療開始後も血行動態が不安定な場合は抗菌薬のカバーを耐性のGNR、GPC、嫌気性菌、真菌に広げた方がよい。(A-III).

20. 低リスクの患者で病院内で治療を始めた人は状態が安定していれば治療を簡易化してもよい。(A-I).
 i. 腸管からの吸収に問題がなさそうな人は点滴から内服に変更してもよい(A-I).
 ii. 入院していても低リスクと判断される人は外来に治療の場をうつしてもよい。ただし毎日十分なフォローアップができることが前提。(B-III). 発熱が持続するか、48時間以内に再度発熱がみられた場合は、再入院させてハイリスク群と同様にマネージメントすることを推奨する。 (A-III).

21. 広域抗菌薬開始から4-7日経過しても発熱が持続して、感染源がはっきりしない場合は抗真菌薬のエンピリックな投与を考慮すること。(A-II).

今回はここまで続きはまた今度。

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