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2011年1月

2011年1月11日 (火)

骨関節の感染症編 IDSAのMRSA治療ガイドライン

IDSAによるMRSAの治療ガイドライン、続きまして骨関節の感染症です。

人工関節関連のところは訳が読みにくくてすみません。原文でも読みにくいです。

内容的にはおそらく<N Engl J Med. 2004 Oct 14;351(16):1645-54.>
とあまりかわらないと思いますが、確認してみてください。
(訳が間違っている可能性もありますので、原著を参考にしてください。
このブログはあくまで個人の勉強メモです)

ST合剤の投与量が菌血症の時(TMP 5mg/kg)よりも少なめ(4mg/kg)に書いてあります。
根拠は本文を読んだ方がよさそうです(書いてあるかどうか確認してませんが)。
Table3に診断名と薬剤の投与量が一覧表になっていますが、そちらでは骨関節で3.5-4.0mg/kg/回 8-12時間毎となっていて、少し記載にばらつきがあるようです。
エビデンスといっても小さなスタディの寄せ集めなので元となった論文で使ってある量とか、Expert opinionに依拠しているためではないかと推測します。

V. 骨関節感染症

【骨髄炎】
36.   外科的なデブリとドレナージが治療の主軸であって可能なかぎり行うべきである。(A-II).

37.   最善の抗菌薬投与ルートは確立していない。
患者の状況によってIV、PO、IV→POを患者の状況によって選択する。(A-III).

38.   IVで使えるのはバンコマイシンとDaptomycin。
代替薬はST合剤(TMP4mg/kg/回 1日2回)+RFP600mg
LZD600mg1日2回、CLDM600mg1日3回 (B-III).

39.   専門家によってはRFPを上記に選択した抗菌薬に追加する。(B-III)
菌血症を合併している場合には菌血症がクリアされてからRFPを追加する。

40.   MRSAによる骨髄炎の最適な治療期間は不明。最低8週間が推奨されている。
専門家によっては1-3ヶ月あるいはデブリが不十分な時はそれ以上の
期間、内服のRFPをベースにした併用療法(感受性に応じてST、Doxy-Mino、CLDM、FQ)
を推奨している。(C-III).

41.   ガドリニウムで造影したMRIが画像の第一選択。(A-II).
特に早期の骨髄炎と合併した軟部組織感染の検出にすぐれる。
血沈とCRPは治療の効果判定に有用な場合もある。(B-III).

【細菌性関節炎】
42.   ドレナージかデブリを必ず行うこと。(A-II).
抗菌薬の選択は骨髄炎に従い、治療期間は3-4週間を推奨。(A-III).

【デバイスに関連した感染症】
44.  Early onset(手術から2ヶ月以内)の感染か、
急性の血行性の安定している人工関節の関節炎で症状の持続期間が3週間以内で
デブリをしたがデバイスが残っている場合、
最初は骨髄炎に準じた点滴治療にRFPを追加して2週間治療した後、
FQ+RFP、ST+RFP、テトラサイクリン+RFP、CLDM+RFPで股関節なら3ヶ月
膝関節なら6ヶ月治療する。(A-II).
インプラントが不安定になっている場合か、Late-onsetの感染症か、3週間以上症状が持続していた場合にはデバイスを除去して治療する。(A-II).

45.   Early-onsetの脊椎のインプラントの感染(30日以内)か
感染している部分にいれたインプラントの治療は
点滴治療+RFPに続いて、長期間の内服治療を行う。(B-II).
最適な治療期間は不明。内服は少なくとも骨が癒合するまでした方がよいだろう。
Late-onsetの感染はデバイスを除去すること。(B-II).

46.   ST、TC、FQ、CLDM(いずれも±RFP、)による長期抑制療法は
デバイスが除去できない患者では考慮する。
FQは必ずRFPと併用すること。なぜならドレナージが不十分な場合には
FQ耐性が出現する可能性が高いから。(B-III).

【小児の場合】

47.   小児の急性血行性骨髄炎、関節炎に対してはバンコマイシンが推奨される。(A-II).
菌血症や血管内感染のない患者で安定していれば、CLDM10-13mg/kg/回IV
6-8時間毎で(40mg/kg/日)も耐性率が低い状況(例えば10%未満)ではEmpiric therapyとして使えるかもしれない。(A-II).
治療期間は個別に設定するが、典型的には関節炎には3-4週間の治療
骨髄炎には4-6週間の治療が推奨されている

48.   小児におけるバンコマイシンとクリンダマイシンの代替薬は以下のとおり。
Daptomycin 6 mg/kg/day 1日1回 (C-III)
LZD 600mg PO/IV 1日2回 12歳以上 (C-III)
12歳以下では10mg/kg 8時間毎 (C-III)

2011年1月 8日 (土)

バンコマイシン編 IDSAのMRSA治療ガイドライン

IDSAのMRSAガイドライン抄訳第2弾 バンコマイシンの投与編です
といってもこの部分は以前にでたバンコマイシンの投与法のガイドライン
Am J Health Syst Pharm. 2009 Jan 1;66(1):82-98. からとってますよ、とのことでした。

以前に比べると大量の投与を推奨して、目標トラフを15-20に設定することが推奨されています。
面白いのがあまり重症でない軟部組織感染であれば昔ながらの投与量でもよい、という
推奨があるところですね。

Ⅷバンコマイシンの投与量設計とモニタリング

60.   腎機能が正常な患者では15-20mg/kg/回(actual body weight)の投与を推奨。
なお1回の投与量が2gを超えないようにする。(B-III).

61.   重症感染(敗血症、髄膜炎、肺炎、IE)では25-30mg/kg(Actual body weight)のLoading doseも考慮される。
レッドマン症候群やアナフィラキシーのリスクがあるので、大量のバンコマイシンを投与するときは
2時間以上をかけたり、抗ヒスタミン薬の前投与を考慮してもよい。(C-III).

62.   トラフ値はもっとも正確なバンコマイシンの投与量設計の指標である。
4回目か5回目の投与の直前の定常状態で測定する。(B-II).

63.  重症感染症(菌血症、心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎、肺炎、重症軟部組織感染症)
の場合はバンコマイシンのトラフは15-20μg/mLを目標とする。(B-II).

64.   腎機能正常で肥満のない人であれば、ほとんどの軟部組織感染に対しては
1gを12時間毎でも十分でトラフ濃度測定もいらない。(B-II).

65.   重症感染と肥満、腎機能障害、分布容積の変動が大きい患者ではトラフのモニタリングを推奨する。
(A-II).

66.   バンコマイシンの持続静注は推奨されない。

【小児の場合】
67.   小児ではバンコマイシンの投与設計のデータが乏しい。
重症感染症では15mg/kg/回 6時間毎を推奨。(B-III).

68.   小児の目標トラフを15-20μg/mLにすることの安全性と効果については
もっと研究が必要だが、重症感染症では考慮すべきである。(B-III).

2011年1月 6日 (木)

IDSAのMRSA治療ガイドライン

年明け早々にIDSAからMRSA治療のガイドラインがでました。

個人的に興味のある血流感染の推奨を訳してみました。
まだ本文までは詳しく読めていません。
訳に間違いがある可能性大なので詳細は原典をご確認ください。

興味深いと思ったのは
・ 菌血症に対してGMやRFPの追加は推奨されていない
・ ST合剤の投与量が具体的に書いてある
 (これまであちこち調べても結構ばらばらの記載だった)
・ Persistent bacteremiaに対する対処が項目として設けてある
 (答えはないんだけど・・・)

Liu C, Bayer A, Cosgrove SE, Daum RS, Fridkin SK, Gorwitz RJ, et al.
Clinical Practice Guidelines by the Infectious Diseases Society of America for the Treatment of Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus Infections in Adults and Children.

Ⅲ MRSAによる菌血症と感染性心内膜炎のマネジメント
 【自然弁の場合】

19. 合併症のないS. aureus菌血症(SAB)の治療はVCMかdaptomycin(6mg/kg 1日1回)を最低2週間。
合併症のないSABの定義
 心内膜炎が除外
 人工物がない
 最初の血培から24-72時間後の血液培養が陽性化していない
 治療開始後72時間以内に解熱
 転移性病巣の証拠がない

上記にあてはまらないComplicated bacteremiaでは
4-6週間の治療を推奨。Daptomycinは8-10mg/kgに増量することを推奨する意見もある。 (B-III).

20.  IEの場合はバンコマイシンかDaptomycinの6週間投与を推奨。

21.  ゲンタマイシンのバンコマイシンへの追加は自然弁のMRSAのIEでは推奨しない。 (A-II).

22.  リファンピシンのバンコマイシンへの追加は自然弁のMRSAのIEでは推奨しない。 (A-I).

23. 侵入門戸の確定と他の臓器に除去すべき感染のフォーカスが
広がっていないかを調べるべきである。 (A-II).

24.  血培の陰性化を確認するために2-4日後の血液培養の再検を推奨。 (A-II).

25.  心エコーは全員に行うべきである。TEEはTTEよりも好まれる。 (A-II).

26. 弁置換術を考慮すべき状況
 疣贅が大きい(>10mm)
 治療開始から2週間以内に2箇所以上の塞栓症が起きた
 重症の弁の機能不全
 弁の穿孔、開裂
 非代償性の心不全
 弁周囲、心筋の膿瘍
 ブロックの出現
 発熱か菌血症の持続

【人工弁の場合】
27.  人工弁の心内膜炎の場合はVCM+RFP+GM (B-III).

28. 早めに弁置換術の適応を考慮する(A-II).

【小児の場合】

29. 小児ではバンコマイシン15mg/kgを6時間おきで菌血症と自然弁のIEは治療開始。
治療期間は2-6週間で感染源、血流感染の有無、転移性病巣の有無などでかわってくる。
代替薬の安全性と効果は小児ではデータが少ない。
クリンダマイシンとリネゾリドはIEか血管内感染の懸念がある場合は使うべきではないが、
菌血症が速やかに消失して、血管内のフォーカスによらない場合は考慮してもよい。

30. 小児で菌血症とIEに対してルーチンにリファンピシンやゲンタマイシンを併用するべきかどうかについてはデータが十分ではない。個別に判断すること。

31. 先天性心疾患がある小児、菌血症が2-3日以上持続した小児、
その他感染性心内膜炎が疑われる所見がある小児では心エコーをすること。

X.  持続する菌血症の場合とVCMで治療失敗した場合どうするか

71.  除去すべき感染フォーカスが残っていないかを探すこと。 (A-III)

72. 感受性があればDaptomycin high dose(10 mg/kg/day),
この場合は他の薬剤(ゲンタマイシン、リファンピシン、リネゾリド、ST、βラクタム)と
の併用を考慮する。 (B-III)
本文によればVCMにRFPやGMを足すことではなくて薬剤の変更を推奨すると。

73. VCMとDaptomycinへの感受性が落ちている場合のオプションは
Quinupristin-dalfopristin 7.5mg/kg 8時間毎
ST 5mg/kg 1日2回 IV
LZD 600mg PO/IV 1日2回
Telavancin 10 mg/kg/回 1日1回
これらのオプションは単剤あるいは他の薬剤と併用する。 (C-III)

気が向いたら他のセクションも訳してみます。

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