2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« MSSA菌血症に対してβラクタムはみな同等か? | トップページ | バンコマイシン編 IDSAのMRSA治療ガイドライン »

2011年1月 6日 (木)

IDSAのMRSA治療ガイドライン

年明け早々にIDSAからMRSA治療のガイドラインがでました。

個人的に興味のある血流感染の推奨を訳してみました。
まだ本文までは詳しく読めていません。
訳に間違いがある可能性大なので詳細は原典をご確認ください。

興味深いと思ったのは
・ 菌血症に対してGMやRFPの追加は推奨されていない
・ ST合剤の投与量が具体的に書いてある
 (これまであちこち調べても結構ばらばらの記載だった)
・ Persistent bacteremiaに対する対処が項目として設けてある
 (答えはないんだけど・・・)

Liu C, Bayer A, Cosgrove SE, Daum RS, Fridkin SK, Gorwitz RJ, et al.
Clinical Practice Guidelines by the Infectious Diseases Society of America for the Treatment of Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus Infections in Adults and Children.

Ⅲ MRSAによる菌血症と感染性心内膜炎のマネジメント
 【自然弁の場合】

19. 合併症のないS. aureus菌血症(SAB)の治療はVCMかdaptomycin(6mg/kg 1日1回)を最低2週間。
合併症のないSABの定義
 心内膜炎が除外
 人工物がない
 最初の血培から24-72時間後の血液培養が陽性化していない
 治療開始後72時間以内に解熱
 転移性病巣の証拠がない

上記にあてはまらないComplicated bacteremiaでは
4-6週間の治療を推奨。Daptomycinは8-10mg/kgに増量することを推奨する意見もある。 (B-III).

20.  IEの場合はバンコマイシンかDaptomycinの6週間投与を推奨。

21.  ゲンタマイシンのバンコマイシンへの追加は自然弁のMRSAのIEでは推奨しない。 (A-II).

22.  リファンピシンのバンコマイシンへの追加は自然弁のMRSAのIEでは推奨しない。 (A-I).

23. 侵入門戸の確定と他の臓器に除去すべき感染のフォーカスが
広がっていないかを調べるべきである。 (A-II).

24.  血培の陰性化を確認するために2-4日後の血液培養の再検を推奨。 (A-II).

25.  心エコーは全員に行うべきである。TEEはTTEよりも好まれる。 (A-II).

26. 弁置換術を考慮すべき状況
 疣贅が大きい(>10mm)
 治療開始から2週間以内に2箇所以上の塞栓症が起きた
 重症の弁の機能不全
 弁の穿孔、開裂
 非代償性の心不全
 弁周囲、心筋の膿瘍
 ブロックの出現
 発熱か菌血症の持続

【人工弁の場合】
27.  人工弁の心内膜炎の場合はVCM+RFP+GM (B-III).

28. 早めに弁置換術の適応を考慮する(A-II).

【小児の場合】

29. 小児ではバンコマイシン15mg/kgを6時間おきで菌血症と自然弁のIEは治療開始。
治療期間は2-6週間で感染源、血流感染の有無、転移性病巣の有無などでかわってくる。
代替薬の安全性と効果は小児ではデータが少ない。
クリンダマイシンとリネゾリドはIEか血管内感染の懸念がある場合は使うべきではないが、
菌血症が速やかに消失して、血管内のフォーカスによらない場合は考慮してもよい。

30. 小児で菌血症とIEに対してルーチンにリファンピシンやゲンタマイシンを併用するべきかどうかについてはデータが十分ではない。個別に判断すること。

31. 先天性心疾患がある小児、菌血症が2-3日以上持続した小児、
その他感染性心内膜炎が疑われる所見がある小児では心エコーをすること。

X.  持続する菌血症の場合とVCMで治療失敗した場合どうするか

71.  除去すべき感染フォーカスが残っていないかを探すこと。 (A-III)

72. 感受性があればDaptomycin high dose(10 mg/kg/day),
この場合は他の薬剤(ゲンタマイシン、リファンピシン、リネゾリド、ST、βラクタム)と
の併用を考慮する。 (B-III)
本文によればVCMにRFPやGMを足すことではなくて薬剤の変更を推奨すると。

73. VCMとDaptomycinへの感受性が落ちている場合のオプションは
Quinupristin-dalfopristin 7.5mg/kg 8時間毎
ST 5mg/kg 1日2回 IV
LZD 600mg PO/IV 1日2回
Telavancin 10 mg/kg/回 1日1回
これらのオプションは単剤あるいは他の薬剤と併用する。 (C-III)

気が向いたら他のセクションも訳してみます。

« MSSA菌血症に対してβラクタムはみな同等か? | トップページ | バンコマイシン編 IDSAのMRSA治療ガイドライン »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: IDSAのMRSA治療ガイドライン:

« MSSA菌血症に対してβラクタムはみな同等か? | トップページ | バンコマイシン編 IDSAのMRSA治療ガイドライン »