バンコマイシン編 IDSAのMRSA治療ガイドライン
IDSAのMRSAガイドライン抄訳第2弾 バンコマイシンの投与編です
といってもこの部分は以前にでたバンコマイシンの投与法のガイドライン
Am J Health Syst Pharm. 2009 Jan 1;66(1):82-98. からとってますよ、とのことでした。
以前に比べると大量の投与を推奨して、目標トラフを15-20に設定することが推奨されています。
面白いのがあまり重症でない軟部組織感染であれば昔ながらの投与量でもよい、という
推奨があるところですね。
Ⅷバンコマイシンの投与量設計とモニタリング
60. 腎機能が正常な患者では15-20mg/kg/回(actual body weight)の投与を推奨。
なお1回の投与量が2gを超えないようにする。(B-III).
61. 重症感染(敗血症、髄膜炎、肺炎、IE)では25-30mg/kg(Actual body weight)のLoading doseも考慮される。
レッドマン症候群やアナフィラキシーのリスクがあるので、大量のバンコマイシンを投与するときは
2時間以上をかけたり、抗ヒスタミン薬の前投与を考慮してもよい。(C-III).
62. トラフ値はもっとも正確なバンコマイシンの投与量設計の指標である。
4回目か5回目の投与の直前の定常状態で測定する。(B-II).
63. 重症感染症(菌血症、心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎、肺炎、重症軟部組織感染症)
の場合はバンコマイシンのトラフは15-20μg/mLを目標とする。(B-II).
64. 腎機能正常で肥満のない人であれば、ほとんどの軟部組織感染に対しては
1gを12時間毎でも十分でトラフ濃度測定もいらない。(B-II).
65. 重症感染と肥満、腎機能障害、分布容積の変動が大きい患者ではトラフのモニタリングを推奨する。
(A-II).
66. バンコマイシンの持続静注は推奨されない。
【小児の場合】
67. 小児ではバンコマイシンの投与設計のデータが乏しい。
重症感染症では15mg/kg/回 6時間毎を推奨。(B-III).
68. 小児の目標トラフを15-20μg/mLにすることの安全性と効果については
もっと研究が必要だが、重症感染症では考慮すべきである。(B-III).
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