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2010年12月13日 (月)

前立腺炎に血液培養は必要か?

UTIについて文章を書くので最近のUTIに関する論文を探していて見つけました。


このような問の立て方が適切か?という問題はさておき、
論文のタイトルのつけ方は重要ですね。

忘れてはならないのは、「適切にとられた血液培養は陰性であった」
という事実も診療上の意思決定には大変重要だということですね。
血液培養は陽性でなければ役に立たないというわけではありません。


それはさておき結果ですが、
18歳以上の男性(当たり前)で最終的に急性前立腺炎と診断がついた入院患者の尿培養と血液培養を分析しています。

大きなMulti centerのスタディのようで、
患者のDemographicは別の論文になっています。

平均年齢61歳、82%が発熱あり、68%が直腸診で圧痛あり。73%が市中感染。

前立腺炎患者は347人。
そのうち血液培養が提出されたのが261人(75%)。
血培陽性は55人(21%)。

尿培養がきれいで血液培養がでたらMicrobiological diagnosisに貢献したと判定。
血液培養の陽性群、陰性群、とらなかった群で予後を比較。

血培の結果で微生物の診断がついたのは14人(5%)
 10人は尿培養が生えなかったが血液培養が生えた。
 4人は血培と尿培の結果が一致しなかった

Logistic regression解析では38.4度以上の発熱が血液培養陽性にPredictiveであった。
抗菌薬投与後の血液培養は全員陰性であった。
血液培養陽性例では熱が高く、熱の期間が長く、悪寒戦慄の回数が多く、尿の菌量が多かったが、
高齢や合併症の数とは関連がなかった。
血液培養陽性例のほうが抗菌薬の投与期間が長かった(42日 vs. 33日)

フランスでは急性腎盂腎炎の時に血液培養の採取を推奨していないようです。
しかし前立腺炎は腎盂腎炎より診断と治療が難しいので、理論上は血液培養が有用である。
コストパフォーマンスはよくないかもしれないが、個人のレベルでは微生物の診断がつくベネフィットはあるだろう。
少なくとも抗菌薬投与のされていない高熱の前立腺炎の患者では血液培養をとるのは有用だろうと結論づけています。

○○な時に血液培養は必要ですか?という質問を受けることは多いですので、
血液培養のメリットが明らかな状況を把握しておくことは大事だと思います。

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コメント

感染症診療の講演や教科書では,血液培養はとにかくとって当たり前,熱があればfever work-upでルーチンに取りましょう,これは感染症診療の憲法ですなどと説明されることもありますが,感染症・発熱=血培というのは,感染症・発熱=CRPと構図が似ていて思考停止と同じだと思っています.市中肺炎診療と血液培養のようにある種の疾患では血培提出のメリットがあまりない(という考え方もある)と聞きます.

血液培養もグラム染色をやるやらないでなく,どういうときに行うべきなのか判断できるようになりたいです.

先生の記事はどれも,普段気になっているような内容がテーマになっていてとても楽しく勉強になります.これからもブログ訪問させてください!

>一年目 様
コメントありがとうございます。励みになります。ともに勉強していきましょう。

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