画像評価が必要な尿路感染の患者は誰か?
再びUTI関連の文献です。
Nieuwkoop C van, Hoppe BPC, Bonten TN, et al.
Predicting the Need for Radiologic Imaging in Adults with Febrile Urinary Tract Infection. Clinical Infectious Diseases. 2010;51(11):1266-1272.
今度は尿路感染で誰に画像検査(Radiologic imagin)を行うか、という問題です。
教科書的には「3日間解熱しなかったら考えよう」ということがいわれています。
実はこの「3日」という数字には根拠があって、遡るとちょっと古い文献にたどり着きます。
Kanel KT, Kroboth FJ, Schwentker FN, Lecky JW.
Kanel KT, Kroboth FJ, Schwentker FN, Lecky JW.
The intravenous pyelogram in acute pyelonephritis.
Archives of internal medicine. 1988;148(10):2144-8.
・67人のもともと健康なPyelonephritisの入院患者全員にIntravenous Urographyをやったが治療が変わったのは8%だけであった
・67人のもともと健康なPyelonephritisの入院患者全員にIntravenous Urographyをやったが治療が変わったのは8%だけであった
・異度を失わずに感度をあげるために統計学的に有用だったのは熱型のみであった。
・72時間経っても解熱しなかった人に限定すると検査の陽性率が32%まで上昇した
今回のスタディは「余計な画像診断を減らそう」という目的があるようです。
舞台はオランダの8つの救急外来。
まずは5つの救急外来のデータでPrediction ruleをつくって、3つの救急外来でそのValidationをしようという計画。
前向きにデータを集めていますが、抗菌薬の選択や画像を行うタイミングなどは診療している施設に任されています。
患者数は346人で、245人(71%)が画像検査が行われています。
平均年齢70歳、患者の41%が男性なので、単純性尿路感染とは違う患者層を扱っているようです。
画像を行った患者のうち46人(19%)が臨床的に意義のある画像所見がえられています。
間をすっとばして結論にいくと、著者らはまず画像で異常のあった群と異常のなかった群で有意差のあった
・尿路結石の既往
・尿のpH≧7.0
・(MDRDで算出した)GFR≦40mL/min/1.73
をそれぞれ1点ずつスコアを与えたPrediction ruleとして作成しました。
そしてカットオフを≧1とした場合、(要はどれか一つがあること)画像で異常がみつかる事に対する
NPVが93%、PPV24%と報告しています。
といってもNPV、PPVは検査前確率でかわるので尤度比をだすと陽性尤度比1.89、陰性尤度比0.45程度で、撮ろうかどうしようか迷っている人のマネジメントを変えてくれる結果ではないように思えますが・・・
やっぱり結石の既往のある人はさっさと評価をした方がいいんだな、ということは言えますね。
著者らはこのルールを適応すれば40%の画像検査が減らせるのではないかと結論づけています。
個人的にはこの結果を用いて画像を減らす努力をするよりは、
早めに画像にいく人が誰かを考えるヒントにしたほうがよいように思いました。
早めに画像にいく人が誰かを考えるヒントにしたほうがよいように思いました。
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