2016年2月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 2010年9月 | トップページ | 2010年12月 »

2010年10月

2010年10月12日 (火)

Infection control of MDR-GNR

前回の記事の続きのセッションです。

MDR-GNRの感染対策について。日本でもいろいろと昨今話題ではあります。
"Infection control of MDR GNR: Are all of the mequal ?"

データがあまりないそうです。
Bilavsky E, Schwaber MJ, Carmeli Y.
How to stem the tide of carbapenemase-producing enterobacteriaceae?: proactive versus reactive strategies.
Curr. Opin. Infect. Dis. 2010 Aug;23(4):327-331.
PMID: 20581673

Maragakis LL.
Recognition and prevention of multidrug-resistant Gram-negative bacteria in the intensive care unit.
Crit. Care Med. 2010 Aug;38(8 Suppl):S345-351.
PMID: 20647792

疫学
散発例か、アウトブレイクか、Endemicか
ICUか、病棟か、Long term care facillityかなどで状況はことなる。

GNRの耐性はお互いに関連しており、一つの耐性菌が多いところでは他の耐性菌多い。

Tängdén T, Cars O, Melhus A, Löwdin E.
Foreign travel is a major risk factor for colonization with Escherichia coli producing CTX-M-type extended-spectrum beta-lactamases: a prospective study with Swedish volunteers.
Antimicrob. Agents Chemother. 2010 Sep;54(9):3564-3568.
PMID: 20547788

海外からの持ち込みもある。
人間は「感染症は外から来る」と考えたがるものですね。

環境中で
A. baumaniiは乾燥した環境でも生き延びる
P. aeruginosaは水が好き

地域でも問題になるか?

 ESBL→地域で大腸菌などに広まると問題
 P. aeruginosa、A. baumanii→院内やICUでの問題

耐性の種類
 変異株の選択→Fitnessが落ちているので薬にさらされなければ感受性は戻ることがある
 遺伝子の獲得→安定した耐性になる

患者から患者への伝播
ESBL E. coli では13%という報告
Harris AD, Kotetishvili M, Shurland S, Johnson JA, Morris JG, Nemoy LL, et al.
How important is patient-to-patient transmission in extended-spectrum beta-lactamase Escherichia coli acquisition.
Am J Infect Control. 2007 Mar;35(2):97-101.
PMID: 17327188

 ESBL K. pneumoniae では52%という報告
Harris AD, Perencevich EN, Johnson JK, Paterson DL, Morris JG, Strauss SM, et al.
Patient-to-patient transmission is important in extended-spectrum beta-lactamase-producing Klebsiella pneumoniae acquisition.
Clin. Infect. Dis. 2007 Nov 15;45(10):1347-1350.
PMID: 17968833

抗菌薬の使用はどうしたもんか。
Which to be restricted?
全体的に制限していくしかないでしょう。
”Global restriction rather than squeezing balloon”
風船を一箇所握りしめても他がふくらむだけですからね。

どの介入がよいのか?
基本はスタンダードプリコーションと抗菌薬適正使用
国としての政策を設けるか?MRSAに対するオランダのように。

どの微生物を優先するか

腸内細菌科>ブドウ球菌
KPC>ESBL
といったところだろうか。

結論は手洗いと抗菌薬の適正使用。至極まっとうな結論であります。

ICAACのノートはこれで終わりにします。
また行きたいですね、ボストン。次は演題をだして堂々といきましょう。

Scimg1045

Scimg1029

Multidrug resistance in Gram negatives: From the antibiogram genotype to the patient

まだやってんの?といわれそうですが、ICAACのノートの続きです。

Multidrug resistance in Gram negatives: From the antibiogram genotype to the patient
"Detection in the Lab: Does this really matter?"

・Antibiotic susceptibility testing
MICの測定

Breakpoint

耐性メカニズムの知識を加えたExpert rules

解釈はEUCAST(ヨーロッパの基準)、CLSI(米国の基準)がある。
ECOFF、PK/PD breakpointという考え方も。
(ECOFFは・・よくわかりません)

しかし

「そもそもBreakpointの設定がよければExpert rulesは不要では?」

2010年のCLSI、EUCASTのBreakpointを使えば腸内細菌科については
Expert rulesは不要である。

メカニズムに関わらず、MICが低ければFailureは少ない。
CLSI2010ではModified Hodge testは不要。

EUCASTではCarbapenemのbreakpointは臨床的なBreakpointであって、
カルバペネマーゼを検出するものではない。

Daikos GL, Petrikkos P, Psichogiou M, Kosmidis C, Vryonis E, Skoutelis A, et al. Prospective observational study of the impact of VIM-1 metallo-beta-lactamase on the outcome of patients with Klebsiella pneumoniae bloodstream infections.
Antimicrob. Agents Chemother. 2009 May;53(5):1868-1873.
PMID: 19223638
カルバペネマーゼの産生と予後は関係なかったという話。
ただしMICがカルバペネムのMICが高いのは予後と関連している。

●新しいBreakpointの考え方
・Clinicalに決めているので、報告はでたまま返す。確認検査で遅らせたりしない。
耐性メカニズムの検査は疫学調査などに必要。

・MICはSの範囲に入るが、耐性の機序を隠し持っているものが実際
に治療できるかどうかのデータが必要

要は腸内細菌科にはGenotypeとPhemotypeに乖離があるということですね。
さてどっちを信用すればいいのかという話ですが、現時点ではCLSIもEUCASTも
Breakpointを低くしてしまえ、ということで足並みがそろってきているようです。
日本の現場のでの感受性報告に反映されるのはもう少し先でしょうが。
(海外でもまだかもしれません)

2010年10月 8日 (金)

「臨床感染症ブックレット」発売

ちょっとだけ分担執筆した書籍が出版されたので宣伝です。

第1巻 病歴と身体所見から感染症を見極める
第2巻
エンピリック治療の抗菌薬,確定治療の抗菌薬を選択する

いずれも錚々たる執筆陣の先生方と名前を並べることになり緊張しました。

第2巻の方ではエンピリック治療に必要な微生物学的知識について書いています。
あまり語られることのない「常識」である人体の常在菌叢についての話を軸にしました。

自分は微生物が専門でもなんでもないですが、感染症の一臨床医が微生物の世界を
どう見ているか?ということが伝わったらと思っています。
"Microbiology according to Infectious Disease Physician"というかんじです。

2010年10月 4日 (月)

Emerging phenotypes and genotypes in MDR and XDR Gram-negative pathogens その2

GNRの感受性の表現型と遺伝子の話。
ちょっとついていくのがきつかったです。

Resistance in GNR phenotype and genotype.

Laurent Poirel

GNRの耐性メカニズム
-PBPはあまり重要でない
-膜の透過性の変化
-汲み出し
-βラクタマーゼ

腸内細菌科のもつβラクタマーゼ 

クラス A   KPC IMI GES  元々はペニシリナーゼでβラクタマーゼ阻害剤で阻害
クラス B   VIM IMP NDM-1 メタロβラクタマーゼ
クラス D   OXA-48

ESBLの検出は難しい!
CTX-MS CTXとCAZを分解する。
CTX-Mの遺伝子の分布は国によって違う。
Hawkey PM, Jones AM.
The changing epidemiology of resistance.
J. Antimicrob. Chemother. 2009 Sep;64 Suppl 1:i3-10.
PMID: 19675017

CTX-M遺伝子があると他の耐性をもっていることが多い。
Morosini M, García-Castillo M, Coque TM, Valverde A, Novais Â, Loza E, et al.
Antibiotic Coresistance in Extended-Spectrum-β-Lactamase-Producing Enterobacteriaceae and In Vitro Activity of Tigecycline.
Antimicrob Agents Chemother. 2006 Aug;50(8):2695-2699.
PMID: 16870760

問題は
カルバペネムで治療

カルバペネム耐性菌の選択

Plasmid mediatedの耐性遺伝子は他の属に伝播していってしまう。
(KPC、IMI)
イスラエルギリシャではEndemicになっている。
PMID: 19324295

KPCも検出するのが難しい

メタロはクラスB、CVAでは阻害されない、EDTAで阻害される。
例えばVIM-1はIPMが感受性にみえる。

NDM-1にはほとんど治療のオプションはない・・・

OXA-48はカルバペネムを分解するが、CAZは分解しない。
他の耐性因子をもっていることが多い。例えばPorinの変異とか。
そうなるとMDRになる。

Acinetobacter baumanii
・ESBL
・カルバペネム耐性

セファロスポリンに耐性をとりやすい。
(Natural cephalosporinaseとかいうのがあって、Over expressionするらしい)

もともとはほとんどのβラクタム、アミノグリコシド、キノロンに感受性があった。
ヨーロッパではVEB-1というESBLをつくるA.baumaniが報告されている。

Class Dのβラクタマーゼもつくる。
カルバペネムも分解するようになっていく。
Oxa-40, OXA-58, OXA-23。
自分にとっては暗号のようになってきた・・・

どんどんカルバペネム耐性になっていく。
RFP、Tigecycline、ColistinがLast resort(最後の手段)。

Emerging phenotypes and genotypes in MDR and XDR Gram-negative pathogens

ボストンから帰ってきてだいぶ時間がたっていますが、空き時間にぼちぼち
まだノートを書いています。

MDR-GNRのセッションのノートです。
Meet-the-expert session
Emerging phenotypes and genotypes in MDR and XDR Gram-negative pathogens
Helen Giamarellou

ギリシャから来た女性の先生がものすごいスピードでしゃべっていて
さっぱり追いつけず。

・ESBL
ESBLのレビュー。市中でも問題になってきているところも。
Pitout JDD, Nordmann P, Laupland KB, Poirel L.
Emergence of Enterobacteriaceae producing extended-spectrum
beta-lactamases (ESBLs) in the community.
J. Antimicrob. Chemother. 2005 Jul;56(1):52-59.

Pitout JDD, Laupland KB.
Extended-spectrum beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae: an
emerging public-health concern.
Lancet Infect Dis. 2008 Mar;8(3):159-66.

ESBL産生腸内細菌科による感染症の治療にFosfomycinが有望視されているけれど、
データは足りていないよう。

・MDRのAcinetobacterは世界中に広がって困ったものだ。
Giske CG, Monnet DL, Cars O, Carmeli Y.
Clinical and economic impact of common multidrug-resistant
gram-negative bacilli.
Antimicrob. Agents Chemother. 2008 Mar;52(3):813-821.
PMID: 18070961

米国のメロペネム感受性のサーベイランス
Rhomberg PR, Jones RN.
Summary trends for the Meropenem Yearly Susceptibility Test
Information Collection Program: a 10-year experience in the United
States (1999-2008).
Diagn. Microbiol. Infect. Dis. 2009 Dec;65(4):414-426.
PMID: 19833471

ヨーロッパでも国によってだいぶ耐性菌の分布が違う。
耐性の広がり具合は南>北というかんじ。
(これも南北問題か?)

・βラクタマーゼの話
カルバペネマーぜは102種類ある。
IMP-1は日本で発見された。ウィーンで発見されたのがVIM。

KPCはプラスミドにコードされている。
Nordmann P, Cuzon G, Naas T.
The real threat of Klebsiella pneumoniae carbapenemase-producing bacteria.
Lancet Infect Dis. 2009 Apr;9(4):228-236.
PMID: 19324295

この論文にはKPCの世界地図がでており面白いです。

・メタロβラクタマーゼ(MBL)の話
ギリシャは大変だった。
Souli M, Kontopidou FV, Papadomichelakis E, Galani I, Armaganidis A,
Giamarellou H.
Clinical experience of serious infections caused by Enterobacteriaceae
producing VIM-1 metallo-beta-lactamase in a Greek University Hospital.
Clin. Infect. Dis. 2008 Mar 15;46(6):847-854.
PMID: 18269335

Souli M, Galani I, Antoniadou A, Papadomichelakis E, Poulakou G,
Panagea T, et al.
An outbreak of infection due to beta-Lactamase Klebsiella pneumoniae
Carbapenemase 2-producing K. pneumoniae in a Greek University
Hospital: molecular characterization, epidemiology, and outcomes.
Clin. Infect. Dis. 2010 Feb 1;50(3):364-373.
PMID: 20041768

KPCは羊の革をかぶった狼かもしれない。
PhenotypeだけではESBLと間違えることもある!
Espedido BA, Thomas LC, Iredell JR.
Metallo-beta-lactamase or extended-spectrum beta-lactamase: a wolf in sheep's clothing.
J. Clin. Microbiol. 2007 Jun;45(6):2034-2036.
PMID: 17409217


隠れたKPCは新たな脅威である。

・NDM-1
Newest MBL
インドとパキスタンでEndemicになっている。感受性はコリスチンとTigecyclineしか残っていない。

Pan-drug resistantのK.pneumoniae, P. aeruginosa, A. baumanii
ギリシャの経験。
Falagas ME, Rafailidis PI, Matthaiou DK, Virtzili S, Nikita D,
Michalopoulos A. Pandrug-resistant Klebsiella pneumoniae, Pseudomonas
aeruginosa and Acinetobacter baumannii infections: characteristics and
outcome in a series of 28 patients.
Int. J. Antimicrob. Agents. 2008Nov;32(5):450-454.
PMID: 18768302

Schwaber MJ, Carmeli Y.
Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae: a potential threat.
JAMA. 2008 Dec 24;300(24):2911-2913.
PMID: 19109119

これからどんどん問題になってくるでしょう・・・

広がりを防ぐ対策はどうするか。
まずは手指衛生からです!

« 2010年9月 | トップページ | 2010年12月 »