答えは風の中に
またもや更新が滞ってしまいました。
5月病だったのかもしれません。
先日ジャーナルクラブで読んだネタです。
カテーテル関連血流感染症を疑う時に、カテーテル血と末梢血を1セットずつとって診断することがありますが、もし複数のカテーテルのルーメンがある場合にどのルーメンからとるのがよいのか?という論文です。
どうでもいいですが、タイトルを見たらボブ・ディランのBlowin' In The Windを思い出しました。
スペインからの報告で、この施設ではカテーテル関連血流感染症を疑った場合に末梢血と、カテーテルのすべてのルーメンからの血培を取るのがスタンダードになっているようです。
この論文ではいくつのルーメンからの血培が陽性になったを数えて、
「もし1つのルーメンからしかとらなかったらどれくらい見逃す可能性があるか?」
を計算しています。
カテ感染の診断はDifferential time to positivityかDifferential colony countでやっています。
(詳しいことはIDSAのガイドラインで)
さて結果は
ダブルルーメンの場合
1ルーメンから陽性:65/112→54.5%
2ルーメンから陽性:51/112→45.5%
トリプルルーメンの場合
1ルーメンから陽性:28/59→47.5%
2ルーメンから陽性:10/59→17.0%
3ルーメンから陽性:21/59→35.6%
故にダブルルーメンのカテーテルで1ルーメンからしかとらなかった場合、カテ感染を見逃す確率は27.2%。
トリプルルーメンでは1セットのみで37.3%の見逃し、2セットのみでは15.8%の見逃しの確率。
という結果でした。(詳しい計算の過程は省略)
結論はもちろん、
「複数のルーメンがあるカテーテルのカテ感染を疑ったら全てのルーメンから血液培養をとるべきである」ということでした。
「そんなのめんどくさいからさっさと抜くよ」という意見もありそうですが・・・。
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