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2010年4月

2010年4月30日 (金)

Cogulase 陰性ブドウ球菌が自然弁にも感染性心内膜炎を起こす

S. epidermidisに代表されるCNSは通常人工弁のIEの原因と思われているが、
自然弁のIEの原因としても増えてきているよ!
という話。
前にもでてきたIEの国際データベースICE-PCSからの報告です。

Chu VH, Woods CW, Miro JM, Hoen B, Cabell CH, Pappas PA, et al.
Emergence of coagulase-negative staphylococci as a cause of
native valve endocarditis.
Clin Infect Dis. 2008 Jan 15;46(2):232-42.

静注薬物使用者でない人で約8%がCNSが原因で、そのうち80%がS. epidermidis
であったということ。

こういう報告をみるときちんと血液培養は2セットとらないといけないのだな、
とわかりますね。
人工物のない人の血培からS. epidermidisが生えても常にコンタミではないわけで。

以下抄訳

28カ国、61のセンターから。
6年間200-2006年の間に登録された患者でCNSのNVEの患者と
S. aureus(SA)とviridance streptococcus (VGS)の患者と比較。

これまではNVEではなくてPVEの原因と考えられてきた。
しかし最近NVEの原因でそれなりの割合を占めているという報告がでてきている。
今回もICE-PCSのデータベースから。
ペースメーカーやICDが挿入されている人もふくまれている。

結果
1635人のIVDUではない自然弁のIEの患者のうちCNSが原因であったのは128名(7.8%)
細かい同定までできた93株のうち74例(80%)がS.epidermidis
受診までに症状がでている期間がS. aureusによるものより長い。
これはViridansでも長くなるよう。(症状が亜急性に進行ということだろう)

カテーテルの留置などはSAとCNSで同じくらいだが、VGSでは少ない。
CNS IEの患者でペースメーカーやICDが入っていたのは15%。
CNS IEでHealth care associatedは49%(意外に少ない!)
ざっと表を見比べるとCNSはゆっくりと来るところではVGSみたいだが、
その他のリスクファクターなんかはSAと共通しているところが多い。

CNSのIEでも医療関連となると処置に関連したものが市中発症より多い。
死亡率は25%。SAが27%と同じくらい。(結構高い)
死亡と関連していた因子は持続的菌血症、CHF、慢性疾患。

DISCUSSION
CNSは自然弁のIEの原因として、市中でも医療関連でも重要となりつつある。
今回のスタディでは8%を占めており、これまでの報告よりも多い。
疫学的な特徴はS.aureusと似通っている。
診断まで時間がかかるわりに血栓症などは起こしにくい。
これはS. aureusとの大きな違い。
バイオフィルムをつくってべったり張り付く性質と関係あるのか?
半分が市中感染であることに要注意。血管内カテーテルなどのリスクが明らかでない。

医療行為と関連があるのはいいとして市中感染と関連している因子はなんなのか?今後明らかにする必要がある。

Limitation
今回のスタディではCNSの種レベルの同定がきちんとされていない。
例えばS.lugdunensisのような以前から強毒性とわかっている
CNSがどれくらい関与しているかはわからない。

2010年4月27日 (火)

多発性骨髄腫患者の感染症

CIDに2009年にでていてレビューの抜粋です。
図表がたくさんあって実際的です。

Nucci M, Anaissie E.
Infections in patients with multiple myeloma in the era of high-dose therapy and novel agents.
Clin. Infect. Dis. 2009 Oct 15;49(8):1211-1225.
PMID: 19769539

といっても特異的な免疫不全の話というのはあまりなくて、
複合的に免疫不全があるからちゃんと評価と治療をしようという内容ですが。

治療が進歩してきて、寛解と再発を繰り返してリスクが積み重なる病気になってきている、
というのが繰り返し述べられています。

あとbortezomibでHSVとVZVのリスクがあがる、というのが繰り返しでてきました。

以下抄訳

MMは薬が増えたので再治療と寛解を繰り返す病気になった。
おかげで免疫不全は強くなってきている。

○Myelomaによる免疫不全+薬による免疫不全
Bortezomib:HSV、VZV
Stem cell transplant→CDAD、CMV、Mold

○RISK FACTOR
MM→B cell機能障害→低ガンマグロブリン
 →樹状細胞の障害
 →T cellの障害
 →腎障害
 →換気不全:椎体の破壊と麻薬による
 →消化管の粘膜障害:化学療法による
 →高血糖:デキサメタゾンによる
 →アミロイドーシス
 →高齢者に多い
 →鉄過剰もお忘れなく
(あまり知られていないけれど感染症の時に組織の鉄が減るのは
微生物に対する人間の防御メカニズム

実際にはどのメカニズムの障害が最も問題になるのかははっきりしないが、
古典的にはPolyclonalな低ガンマグロブリンがS.pneumoniae, H.fluの感染症と
関連づけられている。
治療が進歩してこれまではMMと関連付けられていなかった微生物の感染症が問題になってきた。具体的にはCMV、Aspergillus、Fusarium、HSV、VZV。
HSVとVZVがBortezomibで。

【OVERVIEW】
○寛解導入
MP療法の最初の数カ月は感染症のリスクが高い。
Dexaを併用するとHSVやVZVのリスクが高まる。
サリドマイドは骨髄毒性はない。免疫調整作用と免疫抑制作用をT cellに及ぼす。
ただし臨床的に感染症がましたという話もそうでなかったという話も。

○HSCT:これは通常のHSCTと同じ注意点
○サルベージ
治療が繰り返されて免疫不全が積み重なってくるのでサルベージ治療の人のほうが感染症は増えてくる。ただしデータ的には頻度は無治療の人とかわりないという話も。
Bortezomibはよく使われるがVZVとHSVが増える。(此の話は繰り返しでてくる)
LenalidomideとDexaの併用では好中球減少が増えるがそれで感染症が増えるというわけではなかったよう。

【PREVENTION】
○予防抗菌薬
ステロイドを投与している人はST合剤を。
HSVとVZVは既往がある人はCD4がすごく低い人は(<50とか)では考慮する。
なおベルケイドの人では全員、抗ウイルス薬で予防を。
CMVのPre-emptiveなどはHSCTに準じる。

○ワクチン
インフルエンザ、H.flu、S.pneumoniaeのワクチンに対する反応はあまりよろしくないらしい。インフルエンザの予防は家族やCare giverにワクチンをするのがよいだろう。

グロブリンをうって感染症を予防したという報告もあるが、
抗菌薬による予防投与は用いなかったよう。
コストもかかるし、IgGが500mg/dLをきっていて、
抗菌薬を投与してもしつこく感染症を繰り返している人に限定した方がよいだろう。

【MANAGEMENT 】
鑑別診断のリストは長いので大変だが・・・アルゴリズムが載っており
これは面白い。(よく読むと一般的な内容ではあるが)
血栓症の検索を同時にするようになっている。

免疫不全の状態に応じてアプローチする。(そりゃそうだ)
免疫不全の程度は原疾患の進行度これまでの治療による。(そりゃそうだ)
気を付けるべきはステロイドとBortezomib。
発熱はそうでないとわかるまで感染症として扱おう。ただしMMで熱がでることもある。

(余談だが「MMでは熱がでない」というExpert opinionがあるけれど、
MMで熱がでるという文献はある。これとかこれとか)

MMの治療薬はP450と関連がある(ステロイド、サリドマイド、Bortezomib)P-450と関連のある抗菌薬を使うときは気をつけよう。具体的にはマクロライド、抗真菌薬、RFP、DOXY、INHなどなど)
心アミロイドーシスがある人はQT延長にも要注意。
骨髄抑制がくる薬剤は注意して使うこと(LZD、STなど)

2010年4月13日 (火)

感染症コンサルテーションを聞いてもらうには

引越したり転勤したりでずいぶん久しぶりの更新になってしまいました。
心機一転で、がんばります。

そこで4月にふさわしい話題を。
ちょっと前のJACに
「ID consultation がどれくらい遵守されていて、

どのような推奨が受け入れられやすいか?」
という論文がでていました。

市中感染の方がいうことを聞いてもらいやすいとか、
診断に関するアドバイスより治療に関する
アドバイスの方が聞いてもらいやすい、とかなかなか面白いです。

この領域では
「臨床に直結する感染症診療のエビデンス」にも一章ありますが、
2008年以降のデータなども記載されており、
なかなか興味深いです。

経済的な効果とか、アウトカムへの影響とか、
世界中で感染症コンサルタントは自分たちの存在価値をアピールしています。

以下抄訳

Sellier E, Pavese P, Gennai S, Stahl J, Labarère J, François P.
Factors and outcomes associated with physicians' adherence to
recommendations of infectious disease consultations for inpatients.
J. Antimicrob. Chemother. 2010 Jan;65(1):156-162
PMID: 19910328


○Introduction
求められたコンサルテーションがどれくらい守られていて、
どれくらいアウトカムに寄与しているのかを調べたスタディ。
621人の前向きの試験。フランスの大学病院。半年間

○Materials
2200床の大学病院
Consultation was requestedとあるから、
主治医からのコンサルトということでよさそう。
コンサルトするかどうかは主治医任せ。

コンサルトの形態は
Formal(IDが診察もした)
Informal(IDが診察をしていない)

Adhearanceは48時間以内に推奨通りの治療がされたかどうか

○結果
661件のコンサルトがありそのうち621件が検討可能
気道、尿路が多い

IDの推奨で
抗菌薬の推奨へのアドヒアランスは88%
診断やモニタリングの検査については72.2%。
多変量解析では抗菌薬の推奨へのアドヒアランスの要因は
市中感染であること OR 1.8

抗菌薬治療の推奨へのアドヒアランスは、
より早期の臨床的改善、
入院期間の短縮と関連していた。
抗菌薬をやめる、という推奨は、継続するという推奨よりも受け入れられやすいよう。
先行する研究ではやめろという推奨の方が受け入れられにくいというものもあるよう。

治療に関する介入の方が診断に関する介入よりも受け入れられやすいというのは
先行する研究の結果と一致している。
これまでに推奨が聞き入れられない原因として上げられているのが
時間がない、推奨が具体的でない、などがいわれている。

○Results
Non-adhearanceと関連している要因についてはIDは気を配らなくてはいけない。
なぜなら、いうことを聞いてもらえないと患者の予後が悪くなるからである。
コンサルとした側がいうことを聞いてくれるような要因を明らかにするためにさらに研究が必要である。

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