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2010年1月15日 (金)

腫瘍による閉塞性黄疸はドレナージすると胆管炎が起きやすくなる

今週のNEJMの論文の一つ。
一見我々の仕事と関係ないかのような文献でしたがちょっと関係あります。


van der Gaag NA, Rauws EA, van Eijck CH, Bruno MJ, van der Harst E,
Kubben FJ, et al.
Preoperative Biliary Drainage for Cancer of the Head of the Pancreas.
N Engl J Med. 2010 Jan 14;362(2):129-137.
http://content.nejm.org/cgi/content/short/362/2/129

切除可能な腫瘍のために閉塞性黄疸が生じている場合に、術前に胆道ドレナージをして減黄した方が
術後の予後がよくなるのか、というのは以前から議論になっているようです。

このスタディでは切除可能な膵頭部腫瘍の患者さんで閉塞性黄疸を呈している人を
早期の手術群と、4~6週間の胆道ドレナージを行ってからの手術群にわけています。
ドレナージ方法はPTCDではなくて、ERCPによるステント留置を主にしています。

96名が早期の手術群、106名がドレナージ群に割付。
合併症が起きたのは手術群では39%、ドレナージ群では74%。

ドレナージに関する合併症は47人(46%)。
術後の合併症死亡率と入院日数は両群で有意差なし

ここからが普段の自分の仕事に関わりがありますが、
ドレナージ群では27人(26%)が胆管炎を合併。
手術群で術前に胆管炎を起こしたのは1人。
手術群に割り付けられてなんらかの理由で胆道ドレナージが行われたのは5人。
そのうち胆管炎がおきたのは2人。

腫瘍により閉塞性黄疸がおきても胆管炎が合併することは少ないが
そこにドレナージが行われると胆管炎が起きやすくなることは知られています。
(どこかに書いてあったが出典を忘れてしまった)
まさにそのとおりのデータです。

知っている人には常識ですが、数字にするとなんとなく説得力があるような気がします。

ちなみに膵頭十二指腸切除の術前に胆汁の細菌培養が陽性だと術後の感染は多くなるという報告もある。
Cortes A, Sauvanet A, Bert F, Janny S, Sockeel P, Kianmanesh R, et al.
Effect of bile contamination on immediate outcomes after pancreaticoduodenectomy for tumor.
J Am Coll Surg. 2006 Jan;202(1):93-9.   
PMID: 16377502

ではここで出てくる微生物をターゲットに予防抗菌薬を投与すればよいのか?
それは今のところ結論がないようです。

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