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2009年12月30日 (水)

ちょっと勘違いしていた:肺炎球菌の感受性

つい先ごろペニシリン感受性だが第3世代セファロスポリン感受性という
肺炎球菌にお目にかかりました。

恥ずかしながらこれまで、ペニシリン耐性株の中にセファロスポリン耐性株がいる、
つまりペニシリン感受性ならセファロスポリンには感受性と思い込んでいました。

旧年中の恥は旧年中に晒しておこうと思ったので書きます。

S.pneumoniaeのペニシリンと第3世代セファロスポリンの感受性を復習してみたところ
Mandellによれば
・PBPには1A,1B,2A,2B,2Xと種類があり
・どれが変異するかで感受性のパターンが変わってくる
ということのようです。
特に2Xが変異すると高濃度の耐性になるようです。

実際セファロスポリンの耐性株を集めたこちらの報告(Mandellに引用)

McDougal LK, Rasheed JK, Biddle JW, Tenover FC.
Identification of multiple clones of extended-spectrum
cephalosporin-resistant Streptococcus pneumoniae isolates in the
United States.
Antimicrob. Agents Chemother. 1995 Oct;39(10):2282-2288.
PMID: 8619583

をみると第3世代セファロスポリン耐性で、ペニシリンのMICが十分に低い株もいます。

検索の途中でMandellの項目の著者でこちらの文献でも有名
A fresh look at the definition of susceptibility of Streptococcus
pneumoniae to beta-lactam antibiotics.
Arch Intern Med. 2001 Nov 26;161(21):2538-44.

PMID: 11718584
Musher先生の講義と思われるPDFを発見しました。
(私の師匠は米国研修時代毎週カンファレンスでお会いしていたそうです)
http://www.unil.ch/webdav/site/cnfmi/shared/2007/D.Musher.pdf

スイスの大学のHPにおいてあるようです。まあ公開していてGoogleに引っかかってくる
のでいいでしょう。
しかしなんでスイスの大学のドメインが.chなんだ、中国じゃないのか、と思ったら、
ラテン語表記のConfoederatio Helveticaからとったらしいです。詳しくは検索してみてください。


非常に古い(といっても高々60年くらいですが)歴史的なことまで言及されていてなかなか面白いです。
感染症の領域では治療のスタンダードが成立した歴史的な経緯がわかると、薬の使い方の理解が深まりますね。
「昔はこんな風に治療をしていたんだよ・・・」という先人の語りは大事だと思います。

そんなわけで肺炎球菌はMICと臓器(中枢神経かそれ以外か)で薬剤の選択が変わりますね。
いろんな場合の薬の選択についてはこちらのレビューで。
Kaplan SL, Mason EO. Management of infections due to antibiotic-resistant Streptococcus pneumoniae.
Clin Microbiol Rev. 1998 Oct;11(4):628-44.

PMID: 9767060

よいお年を。

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コメント

偶然みつけたやつですが、これのTable3が肺炎球菌のペニシリンとセフトリアキソンの感受性を対比させた表でわかりやすかったです。

Clinical Infectious Diseases 2009;48:1596–1600
http://www.journals.uchicago.edu/doi/abs/10.1086/598975

bizzareID 様 
コメントありがとうございます。
よく見たら手元に文献を持っていました・・・。zoteroに入れっぱなしなだけですが。やはり現象としては割とまれなようですね。

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