2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« セファロスポリン感受性で帰ってくるESBL産生菌 | トップページ | ちょっと勘違いしていた:肺炎球菌の感受性 »

2009年12月22日 (火)

膿胸はやっかいだ

膿胸(特に術後)についてちょっとまとめました。

主にこちらを参照。
Molnar TF.
Current surgical treatment of thoracic empyema in adults.
Eur J Cardiothorac Surg. 2007;32(3):422-30.
PMID: 17646107

まずは診断
Lightの基準は浸出液と漏出液の鑑別に用いる。
LightのParapneumonic effusionとEmpyemaの基準があって、これはpH 、LDH、タンパク、塗抹培養などで7段階に分かれている。
Light RW.A new classification of parapneumonic effusions and empyema. Chest.1995;108(2):299-301.

PMID: 7634854
ただしこれは肺炎に合併した膿胸の話。

外傷性とか術後とかのOriginに関わらず用いられている診断基準として
1.明らかに見た目が膿か、グラム染色か培養で菌が証明される。
または以下のすべてをみたす
2.pH<7.2、糖<40mg/dL 、LDH>1000IU/mL、タンパク>3g/mL、WBC>
15000
3.身体所見、画像所見が一致する
これの出典は教科書。
他ではあまり見たことがないなあ。

ここで世界のCRP(様)にも登場願うと
Icard P, Fleury JP, Regnard JF, et al.
Utility of C-reactive protein measurements for empyema diagnosis after
pneumonectomy.
Ann Thorac Surg. 1994;57(4):933-6.
PMID: 8166544
CRPの持続高値あるいは再上昇は術後の膿胸に感度特異度ともによかったという報告がありました。
(全文読めてはいません)


外科的治療の選択枝
・ドレーンのみ :初期でなければ単独での成功率は低い
・VATS それほどエビデンスがあるわけではない
・胸膜剥離:肺の拡張が阻害されている場合はよい選択
・胸郭形成:昔結核の治療に行われたことで有名
・開窓術:気管支漏がある時には第1選択

どの外科的な治療法がいいのかは、まだ一定のコンセンサスがないようです。
というのも膿胸はStageによって全然様相が違ってくるので、なかなかスタディが組みにくいという事情もあります。

治療で満たすべき要件は
1.感染した物質の除去
2.空洞の除去 (スペースを埋めること)
3.原因微生物の除去 無菌化
4.補助治療(栄養とか)

よく話題にでてくる抗菌薬によるIrrigationについてはわりと新しい報告がいろいろありました。
バンコマイシンとイミペネムとリネゾリドを使って潅流した、とか目を覆うような報告もありますが。
結構βラクタムも使われちゃっているようです。
基本は外科的治療と平行しています。

Gharagozloo F, Trachiotis G, Wolfe A, DuBree KJ, Cox JL.
Pleural space irrigation and modified Clagett procedure for the treatment of
early postpneumonectomy empyema. J Thorac Cardiovasc Surg.
1998;116(6):943-8.
PMID: 9832684

Zaheer S, Allen MS, Cassivi SD, et al.
Postpneumonectomy empyema: results after the Clagett procedure. Ann Thorac
Surg. 2006;82(1):279-86; discussion 286-7.
PMID: 16798230

Ng T, Ryder BA, Maziak DE, Shamji FM.
Treatment of postpneumonectomy empyema with debridement followed by
continuous antibiotic irrigation. J Am Coll Surg. 2008;206(3):1178-83.
PMID: 18501816

« セファロスポリン感受性で帰ってくるESBL産生菌 | トップページ | ちょっと勘違いしていた:肺炎球菌の感受性 »

感染症科」カテゴリの記事

コメント

勉強になります。
不定期と言わずに、定期的に発行して下さいね。ブログリンク貼りますが宜しいでしょうか?

恐縮です。私もいつもブログ拝見して勉強させていただいています。ぜひ相互リンクさせてくださいませ。

管理人さま

ありがとうございます。相互リンクということで。了解しました。ネット管理する場所が無いので、土日にネカフェ行きます。今後とも宜しくお願いします。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 膿胸はやっかいだ:

« セファロスポリン感受性で帰ってくるESBL産生菌 | トップページ | ちょっと勘違いしていた:肺炎球菌の感受性 »