ちょっと勘違いしていた:肺炎球菌の感受性
つい先ごろペニシリン感受性だが第3世代セファロスポリン感受性という
肺炎球菌にお目にかかりました。
恥ずかしながらこれまで、ペニシリン耐性株の中にセファロスポリン耐性株がいる、
つまりペニシリン感受性ならセファロスポリンには感受性と思い込んでいました。
S.
Mandellによれば
・PBPには1A,1B,2A,2B,2Xと種類があり
・どれが変異するかで感受性のパターンが変わってくる
ということのようです。
特に2Xが変異すると高濃度の耐性になるようです。
実際セファロスポリンの耐性株を集めたこちらの報告(
McDougal LK, Rasheed JK, Biddle JW, Tenover FC.
Identification of multiple clones of extended-spectrum
cephalosporin-resistant Streptococcus pneumoniae isolates in the
United States.
Antimicrob. Agents Chemother. 1995 Oct;39(10):2282-2288.
PMID: 8619583
をみると第3世代セファロスポリン耐性で、ペニシリンのMICが十分に低い株もいます。
検索の途中でMandellの項目の著者でこちらの文献でも有名
A fresh look at the definition of susceptibility of Streptococcus
pneumoniae to beta-lactam antibiotics.
Arch Intern Med. 2001 Nov 26;161(21):2538-44.
PMID: 11718584
Musher先生の講義と思われるPDFを発見しました。
(私の師匠は米国研修時代毎週カンファレンスでお会いしていたそうです)
http://www.unil.ch/webdav/
スイスの大学のHPにおいてあるようです。まあ公開していてGoogleに引っかかってくる
のでいいでしょう。
しかしなんでスイスの大学のドメインが.chなんだ、中国じゃないのか、と思ったら、
ラテン語表記のConfoederatio Helveticaからとったらしいです。詳しくは検索してみてください。
非常に古い(といっても高々60年くらいですが)
感染症の領域では治療のスタンダードが成立した歴史的な経緯がわ
「昔はこんな風に治療をしていたんだよ・・・」という先人の語りは大事だと思います。
そんなわけで肺炎球菌はMICと臓器(中枢神経かそれ以外か)で薬剤の選択が変わりますね。
いろんな場合の薬の選択についてはこちらのレビューで。
Kaplan SL, Mason EO. Management of infections due to antibiotic-resistant Streptococcus pneumoniae.
Clin Microbiol Rev. 1998 Oct;11(4):628-44.
PMID: 9767060
よいお年を。
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